SESとは?IT初心者向けに基本からやさしく解説!働き方のギモンもスッキリ解消

入門編

「IT業界に興味があるけど、よく聞く『SES』って何だろう?」「なんだか難しそう…」そんな風に思っているIT初心者の方も多いのではないでしょうか。このページでは、そんなあなたの疑問を解消するために、SESという働き方について、基本のキからできるだけ分かりやすくお伝えします。

SESがどんなものか、どういうメリットや気をつけることがあるのか、他の働き方とどう違うのか、そしてもしSESで働くならどんな会社がいいのか。この記事を読めば、SESの全体像がきっとつかめるはずです。IT業界への第一歩を考えているあなたにとって、この情報が少しでもお役に立てれば嬉しいです。

  1. SESってどんな仕組み?IT初心者にも分かるように説明します!
    1. SESの契約ってちょっと難しい?ポイントは「お手伝いの約束」
    2. SESに関わる人たち:お客さん・自分の会社・そして自分
    3. どうしてIT業界ではSESが多いの?
  2. SESで働くって、どんな良いことがあるの?
    1. いろんなお仕事に挑戦できる!スキルアップのチャンスがある
    2. IT業界が初めてでも大丈夫!チャレンジしやすい環境
    3. たくさんの人と協働!つながりが広がる
    4. お休みや働く時間を調整しやすいことも?
  3. SESで働くときに気をつけることってある?
    1. 働く場所は自分の会社じゃない?ちょっぴり寂しいことも
    2. 「誰の指示で動けばいいの?」ちょっぴり複雑な関係
    3. お給料や待遇、会社によって違うかも?
    4. 「どんなお仕事をするかは運次第?」キャリアプランが立てにくいことも
  4. SESと「派遣」「請負」は何が違うの?
    1. SESと「派遣」の大きな違い:「誰から指示されるか」がポイント
    2. SESと「請負」の大きな違い:「何を約束するか」がポイント
    3. どの働き方がいいの?選ぶときのヒント
  5. 良いSES企業はどうやって見分ける?
    1. 育成の制度はしっかりしているか?
    2. 困ったとき、ちゃんと相談に乗ってくれるか?
    3. どんな仕事が多い?給料はちゃんともらえる?
    4. ルールを守る会社?みんなの評判はどう?
  6. まとめ

SESってどんな仕組み?IT初心者にも分かるように説明します!

まずは「SES」という言葉の意味から見ていきましょう。SESは「システム エンジニアリング サービス」の頭文字をとった言葉です。ものすごく簡単に言うと、ITの技術や知識を持ったエンジニアが、お客さんの会社へ行って、システム開発や運用のお手伝いをするサービスのことです。なんだか便利そうですよね。

この仕組みをもう少し詳しく知ることで、SESという働き方がグッと身近に感じられるようになりますよ。ここでは、SESの契約のことや、どんな人たちが関わっているのか、そしてなぜIT業界でよく使われているのかを解説します。

SESの契約ってちょっと難しい?ポイントは「お手伝いの約束」

SESで働くとき、エンジニアが所属する会社(SES企業といいます)とお客さんの会社の間では、多くの場合「準委任契約」という約束が結ばれます。この言葉、ちょっと難しく聞こえるかもしれませんが、「お客さんの業務を、期間を決めてお手伝いしますよ」というイメージに近いものです。

大事なのは、SESのお仕事は「システムを絶対に完成させます!」という約束ではなく、「〇時間、専門家としてお手伝いします」という点です。だから、もしプロジェクトが予定通りに進まなかったとしても、すぐにお手伝いしたエンジニアやSES企業の責任になるわけではありません。もちろん、プロとしてしっかりお仕事をする責任はあります。

会社同士の約束なので、細かいルール(例えば秘密を守る約束や、作ったものの権利についての約束など)も決められますが、基本は「時間単位で技術を提供する」ということを覚えておきましょう。

システムエンジニアリングサービス(SES)契約は、ITの技術やスキルを持った人が、お客さんの会社のお仕事をお手伝いする契約の形の一つです。多くの場合、「準委任契約」という形をとり、お手伝いする期間や作業内容について約束をしますが、「必ずこれを完成させます」という完成の保証までするものではありません。

SESに関わる人たち:お客さん・自分の会社・そして自分

SESの仕組みには、主に3つの立場の人が関わっています。「お客さんの会社(クライアント企業)」、「エンジニアが所属する会社(SES企業)」、そして「エンジニア自身」です。まず、お客さんの会社は「新しいシステムを作りたいな」「今のシステムをもっと良くしたいな」といったITに関する困りごとや要望を持っています。

そこで登場するのがSES企業です。SES企業は、ITスキルを持ったエンジニアを社員として抱えていて、そのエンジニアをお客さんの会社に「この人がお手伝いしますよ」と紹介し、契約を結びます。エンジニアは、自分を雇ってくれているSES企業からお給料をもらいながら、実際にはお客さんの会社へ行って(これを「客先常駐」と言います)、そこのプロジェクトチームの一員として働きます。

この仕組みによって、お客さんの会社は必要な時にITの専門家をチームに加えられ、SES企業はエンジニアの技術を提供することで収益を得て、エンジニアはいろんな会社でお仕事をする経験が積める、というわけです。

どうしてIT業界ではSESが多いの?

IT業界でSESという働き方がよく使われるのには、いくつかの理由があります。一つは、ITのプロジェクトは、期間が決まっていたり、途中で必要な人数が変わったりすることが多いからです。会社がそのたびに新しい人を正社員として雇うのは大変ですよね。SESなら、必要な期間だけ、必要なスキルを持ったエンジニアにお手伝いに来てもらえるので、とても柔軟に対応できるんです。

また、ITの世界は技術の進歩がとても速いので、会社によっては「この技術に詳しい人が社内にいない…」ということもあります。そんな時も、その技術が得意なSES企業にお願いすれば、専門家がお手伝いに来てくれるので助かります。エンジニアにとっても、SESで働くといろんな会社のいろんなお仕事にチャレンジできるので、スキルアップのチャンスがたくさんあるんですね。

こんな理由で、SESはIT業界で人と仕事を結びつける、なくてはならない働き方の一つになっているんです。

SESで働くって、どんな良いことがあるの?

SESという働き方を選ぶと、エンジニアにとって嬉しいことがいくつかあります。特にIT業界が初めての人や、これからもっとスキルを磨きたい人にとっては、魅力的なポイントがたくさんあります。ここでは、SESで働くことの主なメリットを、初心者の方にも分かりやすく説明しますね。

これらの良い点を知って、自分がIT業界でどんな風に成長していきたいか、イメージしてみてください。

いろんなお仕事に挑戦できる!スキルアップのチャンスがある

SESで働く一番の魅力は、いろいろな会社や、いろいろな種類のプロジェクトに参加できることです。例えば、ある時は銀行のシステムを作るお仕事、またある時はゲームアプリの開発、またある時は大きな工場の機械を動かすシステムのお手伝い…なんてこともあり得ます。これって、ワクワクしませんか?

たくさんの違うお仕事を経験することで、自然といろんな知識や技術が身につきます。「次はこんな技術を使ってみたい!」「この分野をもっと勉強したい!」という気持ちがあれば、どんどん新しいことにチャレンジできる環境なんです。短期間でたくさんの経験を積んで、エンジニアとしてレベルアップしたい人にはピッタリかもしれません。

自分が何が得意で、何に興味があるのかを見つけるのにも役立ちますよ。

IT業界が初めてでも大丈夫!チャレンジしやすい環境

「IT業界に興味はあるけど、経験がないから不安…」そんな風に思っている人にとって、SESはITエンジニアとしてのキャリアをスタートしやすい働き方の一つです。もちろん、専門的な知識や技術は必要ですが、SES企業の中には、未経験の人を積極的に採用して、研修でしっかり育ててくれるところもたくさんあります。

最初は、先輩エンジニアのサポート業務や、システムのテストといった比較的やさしいお仕事から始めて、少しずつ難しいお仕事にステップアップしていく、という道筋を用意してくれている会社もあります。お客さんの会社で働くときも、経験豊かな先輩と一緒のチームなら、分からないことを教えてもらいながら実践的に学べます。

「ITエンジニアになりたいけど、何から始めたらいいか分からない」という人にとって、SESは良い最初のステップになるかもしれませんね。

たくさんの人と協働!つながりが広がる

SESで働くと、お客さんの会社の人たちや、他の会社から来ているエンジニアなど、たくさんの人と一緒にお仕事をすることになります。プロジェクトが変わるたびに新しい出会いがあるので、自然と知り合いが増えていきます。これは、将来もしあなたが会社を変えたり、自分で仕事を始めたりするときに、とても大切な財産になるかもしれません。

また、いろんな考え方を持つ人たちと働くことは、技術だけでなく、人とのコミュニケーションの取り方や、難しい問題にどう対応するかといった力を伸ばすのにも役立ちます。たくさんの人との出会いは、あなた自身を成長させてくれる良い機会になるでしょう。

積極的に話しかけたり、協力したりすることで、仕事の幅も人間関係も広がっていきますよ。

お休みや働く時間を調整しやすいことも?

SESの働き方は、参加するプロジェクトによって変わるので一概には言えませんが、場合によっては、お休みや働く時間を比較的調整しやすいことがあります。会社同士の契約で、1日に働く時間や、残業できる時間の上限がきちんと決められていることが多いので、無理な働き方をさせられることは少ない傾向にあります。

また、一つのプロジェクトが終われば、次のプロジェクトに移るので、もし一時的にすごく忙しい時期があったとしても、それがずっと続くわけではない、というのも気持ちの面で少し楽かもしれません。SES企業によっては、あなたの希望する勤務地や仕事内容、残業の希望などを聞いて、それに合ったお仕事を紹介してくれることもあります。

ただし、これは「そういう場合もある」という話で、残念ながらお客さんやプロジェクトの状況によっては、忙しくなることもあります。どんな会社で、どんなお仕事を選ぶかが大切ですね。

SESで働くときに気をつけることってある?

良いことがたくさんある一方で、SESで働くときには少し気をつけておきたい点もあります。これらのことを前もって知っておけば、「こんなはずじゃなかった…」と後から困ることを減らせるはずです。ここでは、SESで働く上で出てくるかもしれない悩みや注意点について、正直にお伝えしますね。

これらの情報を知った上で、自分に合っているかどうか、もし働くならどんな対策ができるかを考えてみましょう。

働く場所は自分の会社じゃない?ちょっぴり寂しいことも

SESで働くエンジニアは、基本的に自分を雇ってくれているSES企業ではなく、お客さんの会社へ行って仕事をします。これを「客先常駐」と言います。そのため、自分の会社の仲間と毎日顔を合わせることが少なくて、「なんだか自分の会社の人じゃないみたい…」と少し寂しく感じることがあるかもしれません。

お仕事をするチームも、お客さんの会社の人や、他のSES企業から来ているエンジニアで構成されることが多いです。プロジェクトがよく変わる場合は、そのたびに新しい場所や新しい人たちに慣れる必要があります。これは新しい発見があって楽しい反面、ちょっと気疲れしてしまうこともあるかもしれません。

SES企業によっては、月に一度会社に帰る日を作ったり、社員同士が交流できるイベントを開いたりして、エンジニアが一人ぼっちにならないように工夫しているところもあります。

「誰の指示で動けばいいの?」ちょっぴり複雑な関係

SESの契約では、エンジニアがお仕事のやり方について指示を受けるのは、原則として自分を雇ってくれているSES企業の担当者から、ということになっています。お客さんの会社の人が、SESエンジニアに直接「あれやって、これやって」と細かく指示を出すのは、本当は契約のルール違反(「偽装請負(ぎそううけおい)」と言われることもあります)になる可能性があります。

でも、実際にお客さんの会社で働いていると、このルールがはっきりしなくて、お客さんから直接指示を受けて仕事を進めることも少なくありません。そうすると、「本当はどっちの言うことを聞けばいいんだろう?」と迷ったり、契約にないお仕事を頼まれて困ったりすることもあるかもしれません。大切なのは、自分の会社がお客さんとしっかりルールを決めて、それをエンジニアにもちゃんと教えてくれているかどうかです。

もし「あれ?」と思うような指示を受けたら、すぐに自分の会社の営業担当の人や上司に相談することが大事です。

お給料や待遇、会社によって違うかも?

SESエンジニアのお給料は、自分を雇ってくれているSES企業から支払われます。そのお給料の元になっているのは、お客さんの会社がSES企業に支払う「契約金」、つまりエンジニアの「お手伝い料」です。このお手伝い料は、エンジニアのスキルや経験、お仕事の難しさによって変わります。だから、もしスキルがあまり高くないと見なされたり、次のお仕事が決まるまでお休み期間があったりすると、お給料が上がりにくかったり、場合によっては下がってしまったりすることもあるかもしれません。

また、IT業界では、大きなお客さんから仕事を受けた会社が、その一部を別の会社にお願いし、さらにその会社がまた別の会社に…というように、複数の会社が関わることがあります(これを「多重下請け」と言います)。そうすると、間に入る会社がそれぞれ手数料を取るので、実際に働くエンジニアのお手伝い料が低くなってしまうこともあるんです。ボーナスや退職金、その他の福利厚生(お休みや手当など)も、SES企業によって全然違うので、入社前によく確認することが大切です。

もちろん、自分自身がスキルを上げる努力をすることも大事ですが、お客さんとしっかり交渉してくれて、エンジニアにお給料をたくさん返してくれるSES企業を選ぶことが、安定した生活のためには重要です。

「どんなお仕事をするかは運次第?」キャリアプランが立てにくいことも

SESでは、どんなプロジェクトや仕事内容に割り当てられるかによって、経験できることや身につくスキルが大きく変わってきます。これを「案件ガチャ」なんて呼ぶ人もいます。必ずしも自分がやりたいと思っていた技術や、将来こうなりたいという計画に合ったお仕事に巡り合えるとは限りません。時には、あまりスキルアップにつながらない単純な作業や、興味が持てない分野のお仕事を任されることもあるかもしれません。

SES企業によっては、エンジニアが将来どうなりたいかをあまり考えずに、とにかく空いているお仕事に人を当てはめようとするところもあるので注意が必要です。「こんなエンジニアになりたい!」という自分の目標をしっかり持って、それを会社に伝え、積極的に希望のお仕事ができるように交渉する姿勢が大切です。そして何より、エンジニア一人ひとりのキャリアを真剣に考えてくれる、信頼できるSES企業を選ぶことが一番大切です。

会社の人と面談するときには、これまでどんなお仕事があったか、エンジニアがどんな風に成長しているかなどを聞いて、自分の希望と合っているか確かめてみましょう。

SESと「派遣」「請負」は何が違うの?

SESの話をしていると、「派遣」や「請負(うけおい)」という言葉もよく出てきます。これらはSESと似ているようで、実はエンジニアの働き方や責任の範囲、誰から仕事の指示を受けるかなどが大きく違います。それぞれの特徴を知って、SESがどんな位置づけなのかを正しく理解しましょう。

これらの違いが分かると、お仕事で困ったことが起きたときにも、どうすれば良いか判断しやすくなりますよ。

SESと「派遣」の大きな違い:「誰から指示されるか」がポイント

SES(多くの場合は準委任契約)と派遣契約の一番大きな違いは、エンジニアが「誰からお仕事のやり方について指示を受けるか」という点です。派遣契約で働く場合、エンジニアは派遣されたお客さんの会社の人から、直接「こうしてください」「あれをやってください」と指示を受けて働きます。一方、SES契約の場合は、お仕事の指示は原則として、エンジニアが所属しているSES企業の担当者から出されることになっています。お客さんの会社の人がSESエンジニアに直接細かい指示を出すのは、基本的には契約違反(偽装請負)になるんです。

また、派遣のお仕事は「労働者派遣法」という法律に基づいていて、派遣会社は国から許可をもらう必要があります。SESの契約は主に民法という法律の中の準委任契約というルールに基づいていて、特別な許可は必要ありません。こうした法律のルールの違いも、二つの働き方の違いを理解する上で大切です。

SESエンジニアとして働くときは、誰から指示を受けるのが正しいのかをしっかり理解して、もし分からないことがあれば自分の会社の人に確認することが大切です。

「労働者派遣」では、派遣された会社の人が派遣社員にお仕事の指示を出すことができます。しかし、「SES」(準委任契約の場合)では、お客さんの会社の人がSES企業のエンジニアに直接細かい指示を出すことは、原則としてできません。この「誰が指示を出すか」という点が、二つを区別する上でとても大事なポイントになります。

SESと「請負」の大きな違い:「何を約束するか」がポイント

SES(準委任契約)と請負契約の主な違いは、「お仕事の完成を約束するかどうか」です。請負契約の場合、お仕事を引き受けた会社(請負業者)は、契約で決められた仕事(例えば、特定のソフトを作ること)をきちんと終わらせて、完成したものを注文した会社に渡す責任があります。もし約束の期限までに完成できなかったら、契約を守れなかったとして責任を問われることがあります。

一方、SES(準委任契約)では、エンジニアはお手伝いを頼まれたお仕事を、プロとして注意深く行うことが求められますが、必ずしも「システムを完成させること」を約束するわけではありません。契約期間中に、自分の技術や知識を使ってお手伝いすることが主な目的なので、プロジェクトがうまくいくかどうか自体が、直接SESエンジニアの責任になるわけではないんです。

この「完成を約束するかどうか」という違いは、もしプロジェクトが遅れたり、途中で内容が変わったりした場合に、誰がその責任を持つのか、という点でとても重要になってきます。

「準委任契約」は、頼まれたお仕事の作業そのものを行うことを目的としています。それに対して「請負契約」は、お仕事を完成させることを目的としています。この「目的」の違いが、契約で負う責任の範囲や、お金の支払い方などにも影響します。

どの働き方がいいの?選ぶときのヒント

エンジニアとして働くときや、会社がITの専門家にお手伝いを頼むとき、どの契約の形を選ぶかはとても大切です。SES、派遣、請負には、それぞれ良い点と少し注意が必要な点があります。プロジェクトの目的や、どんな役割を求めているか、あるいは自分自身が将来どうなりたいかなどによって、一番合うものが違ってきます。例えば、短い期間だけ特定のスキルを持った人に手伝ってほしい場合はSESや派遣、はっきりとした完成品を期限までに作ってほしい場合は請負、というように使い分けられます。

エンジニア個人としては、誰から指示を受けるのが分かりやすいか、どれくらい自由に働けるか、将来のスキルアップにつながるかなどを考えて選ぶことが大切です。契約の内容をしっかり理解して、分からないことは前もって聞いておくことで、「思っていたのと違った…」ということを防げます。

それぞれの特徴を簡単にまとめた表を見てみましょう。

契約の形による違いをまとめた表です。

ポイント SES(準委任契約) 派遣契約 請負契約
誰から指示を受ける? 自分の会社の人 お客さんの会社の人 (基本は)自分(の会社)で考えて進める
「完成」の責任は? なし(プロとして頑張る責任はある) なし(時間通り働く責任はある) あり
主な目的は? 技術や労働力を提供する 労働力を提供する 完成品を作って渡す
関係する主な法律 民法(準委任契約) 労働者派遣法 民法(請負契約)

この表は一般的な違いなので、実際の契約では内容が少し異なることもあります。

良いSES企業はどうやって見分ける?

「SES企業」と一口に言っても、本当にたくさんの会社があります。エンジニアのことをしっかり考えて、成長を応援してくれる良い会社もあれば、残念ながらそうではない会社もあるのが現実です。もしあなたがSESという働き方を選ぶなら、自分に合った良い会社を見つけることが、とてもとても大切になります。

ここでは、どんな点に気をつけて会社を選べば良いのか、具体的なポイントをIT初心者の方にも分かりやすくお伝えしますね。

育成の制度はしっかりしているか?

特にIT業界が初めての人や、まだ経験が少ないエンジニアにとっては、会社が勉強の機会をどれだけ用意してくれているかが、すごく大事なポイントです。良いSES企業は、エンジニアが新しいことを学んで、もっと活躍できるようになるために、しっかりとした研修制度や、資格を取るためのサポート制度を持っています。会社に入った時の基本的な研修だけでなく、仕事が始まってからもフォローしてくれたり、専門的な技術を学ぶためのお金を出してくれたりするかどうか、確認してみましょう。

また、会社の中でエンジニア同士が教え合ったり、新しい技術の情報を交換したりする雰囲気があるかどうかも大切です。みんなで一緒に成長できるような会社なら、長く安心して働ける可能性が高いですよ。「どんな研修がありますか?」「資格を取った人はいますか?」など、具体的に質問してみると良いでしょう。

ただ制度があるだけでなく、実際にそれが使われているか、使いやすい雰囲気かどうかも見極めたいですね。

困ったとき、ちゃんと相談に乗ってくれるか?

SESで働くエンジニアは、お客さんの会社で仕事をすることが多いので、自分を雇ってくれている会社からのサポートがとても重要になります。良いSES企業は、エンジニアがお客さんのところで安心して仕事に集中できるように、定期的に話を聞いてくれたり、将来どうなりたいかの相談に乗ってくれたりする機会を作っています。営業担当の人や、専門の相談員が、現場での悩みやこれからのキャリアについて親身になって話を聞いてくれて、的確なアドバイスや手助けをしてくれるか、確認しましょう。

また、何かトラブルが起きたときにすぐに対応してくれるか、お客さんとの間で困ったことがあったときに間に入って話をしてくれるかどうかも、とても大事なポイントです。「エンジニアをただの人手ではなく、大切な仲間として扱ってくれる会社かどうか」は、こういうサポートの丁寧さによく表れます。「どれくらいの頻度で面談がありますか?」「相談に乗ってくれる人はどんな人ですか?」など、具体的に聞いてみるのがおすすめです。

心のケア、例えば先輩が相談に乗ってくれる制度(メンター制度)や、専門家によるカウンセリングが受けられるかどうかなども、安心して働くためにはチェックしておきたいですね。

どんな仕事が多い?給料はちゃんともらえる?

エンジニアとしてスキルアップしたり、将来の目標を達成したりするためには、どんな仕事に挑戦できるかがすごく大切です。良いSES企業は、設計のような上流の仕事から関われるチャンスや、新しい技術に触れられる仕事、大きなプロジェクトなど、エンジニアの成長につながるいろいろな仕事を持っています。そして、エンジニアの希望や今のスキルに合わせて、ピッタリの仕事を紹介してくれるかどうかも重要です。

さらに、お客さんの会社に対して、エンジニアの働きに見合うだけの「お手伝い料」をちゃんと交渉できる力があるかどうかも見逃せません。交渉力が高い会社なら、エンジニアに返ってくるお給料も多くなりやすいですからね。「どんな業界の仕事が多いですか?」「どんな技術を使うお仕事がありますか?」「エンジニアのお手伝い料はだいたいどれくらいですか?」など、できる範囲で聞いてみましょう。

SESの契約がどうやって決まって、エンジニアがお仕事にどうやって割り当てられるのか、その流れを知っておくのも良いかもしれません。

ルールを守る会社?みんなの評判はどう?

会社が法律やルールをきちんと守っているか(これを「コンプライアンス」と言います)は、安心して働くための大前提です。契約の内容がはっきりしなかったり、働く時間の管理がいい加減だったり、本当はダメな働かせ方(偽装請負など)をしていたりする会社は、絶対に避けたいですよね。働く人を守る法律(労働基準法など)をちゃんと守って、エンジニアの権利を大切にしてくれる会社か、しっかり確認しましょう。

また、実際にその会社で働いている人や、以前働いていた人の評判を調べてみるのも良い方法です。会社の口コミサイトやSNSなどで、働いている環境、人間関係、お給料のこと、将来のキャリアサポートなどについて、どんな意見があるか参考にしてみましょう。ただし、インターネットの情報は、良いことも悪いことも、いろいろなことが書かれているので、全部を信じすぎないで、たくさんの情報源から判断することが大切です。

会社の人と面談する際に、「会社として法律やルールを守るためにどんなことをしていますか?」と質問してみるのも良いでしょう。ちゃんとした会社なら、きちんと答えてくれるはずです。

まとめ

この記事では、「SESって何だろう?」という疑問にお答えするために、SESの仕組みやメリット、気をつけること、他の働き方との違い、そして良いSES企業の見分け方まで、できるだけ分かりやすく説明してきました。SESは、IT業界で人と仕事を結びつける大切な働き方の一つで、エンジニアにとっては色々な経験を積む大きなチャンスになることがあります。

でもその一方で、お客さんの会社で働くことならではの悩みや、会社によってお給料や待遇が違うなど、知っておくべき注意点もいくつかありましたね。SESという働き方を選ぶときには、良い点と気をつける点をよく比べてみて、自分が将来どうなりたいか、どんな働き方が自分に合っているかをじっくり考えることが大切です。そして何よりも、エンジニアのことを一番に考えてくれる、信頼できる良い会社を選ぶことが、SESで楽しく、そして成長しながら働くためのカギになります。

この記事が、あなたがSESについて深く理解して、IT業界でより良い一歩を踏み出すためのお手伝いになれば、とても嬉しいです。

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